スイーツの神あらわる
今週のお題「チョコレート」
この時期になると、街中がチョコレートの香りがするんじゃないかっていうほど、お店というお店にチョコレートが並んでいる。
体質的に私はチョコレートを控えているけれど、プレゼントすることは大好きだ。
とても昔の話になるが、高校生の頃のこの時期、女子たちの間では
誰にチョコをあげるのか=誰に告白するのか
と言う話題でいっぱいだった。
サッカー部の○○君
同じクラスの○○くん
選択科目が同じ○○くん
部活の○○先輩
社会科の○○先生
通学の時、電車で一緒になる違う学校の人
…毎日恋バナ祭りで楽しかった。
真剣なんだけどどこかお祭りのような感覚もあって…。これが女子高生のパワーなのでしょうか。
かくいう私は、その当時好きな人もなく男女問わず友達といるのが一番楽しい時期で、友チョコ作りに励んでいた。
その友達の中の一人にバスケットボール部の男の子がいた。
北斗の拳のケンシロウのような風貌で少し話しかけづらい雰囲気だった。
でも話してみると読書家で本をたくさん紹介してくれたり、甘いもの好きだということがわかった。
そして迎えた2月14日。
告白する女子たちはいつもより少しおしゃれをして、ソワソワしていた。
友チョコ祭りの私や他の友達は、手作りお菓子の交換会となっていた。
私はチョコレートが入ったパウンドケーキを作って友達に渡していた。
そして、バスケットボール部の彼にも渡した。
彼は「ありがとう」と受け取り、お昼休みに食べていた。
食べ終わってから私の席へ来て、
「あのケーキ旨かった~。ああいう焼き菓子って洋酒が入ってることが多いけど、オレはそれが少し苦手で。モフモフだんごのケーキは洋酒が入ってなかったからよかったわ~。」
とお褒めの言葉と詳しい解説 。
焼き菓子に詳しいんだな。本当に甘いもの好きなんだなーと思った。
そして1か月後。
彼は大きな紙袋を持って学校へ来た。
昼休みに彼は私を含め友達を席に呼んだ。
紙袋からホールケーキに使う大きな箱が出てきた。
その箱を開けると、シフォンケーキがホールのままで入っていた。
そして紙皿、フォークを出してきてそれぞれに配り、慣れた手つきでケーキを切り出した。
切り分けたケーキを紙皿にのせた後、紙袋からタッパーを取り出した。開けるとそこにはイチゴジャムが。
イチゴジャムをケーキの横に手際よく添えた。
「はい!オレからのお礼。本当は生クリームを持ってきたかったんだけど、さすがにそれはできなくて…。ジャムも手作りだよ!」
と彼がにっこり笑って言った。
一口ケーキを食べてみると「‼️」。友達と顔を見合わせた。
甘さ控え目だけど美味しい!ジャムと一緒に食べると酸味と甘味がちょうどいい!本当に美味しいケーキだった。私達女子が作るよりもずっと繊細で完成度の高いお菓子だった。
ケンシロウ、まさかのスイーツの神。
その後、女子からは羨望の眼差しで見られるのであった。