小さな土鍋
今週のお題「鍋」
「鍋」といえば思い出す。
ある日、小学生だった私は風邪こじらせた。
普段は食欲旺盛な子どもだったが、
その時はどうやらあまり食べなかったようだ。
心配した母が、少しでも栄養をつけてほしいと
思ったのか、ある晩の食事は鍋焼きうどんだった。
小さな土鍋に白菜や春菊、人参、玉子、白ネギ、
などが入ったものだったと思う。
どれくらい食べたのか、記憶はない。
ただ、覚えているのは、鍋の蓋を開けた瞬間の
ふわりとした湯気、ぼんやりと見える母の姿、
その後ろに父と兄がいたこと。
それからほどなくして、元気になった。
大人になってから、当時のことが話題に出た。
なんと、あの鍋焼きうどんを食べてから、
私は15時間も眠り続けていたらしい。
私の中では、ほんの一晩ぐっすり寝て元気になった
と思っていたのに。
そろそろ鍋焼きうどんの季節だ。
昨年実家から迎えた、あの小さな土鍋で
今年は鍋焼きうどんを作ってみよう。